トラブル・シューティング <Q11> DATSUN FREEWAY

 <症状> ・・・ S130Zのガラス周辺に見られたサビの発生を修理・塗装しました。
          実状を検証して、原因の解析と対処法を検討してみましょう。

          検体は日本仕様・2リッター Turbo・2シーター・5速車です。

 <解説> ・・・ これまでに見て来た、S130Z(280ZX)車に共通する課題です。

          特にロアーモール周辺から発生するサビは、個体の構造的問題が原因と
          考えられます。 モール内に侵入する水抜きが良くないため、ここに経年の
          泥や異物が停滞して、腐食を進行させています。
          
          こうした幅の太いモールは、内部にゴミや土砂が停滞しやすく、水分も抜け
          にくいので、サビの発生する要因となっています。

          


S130・280ZXのガラス周辺の修理 写真1 : 1977年頃、当時ようやくガラスの固定にウレタン系の素材
      で圧着する手法が確立してきました。 

      そのはみ出した素材を隠し、確実にガラスを固定する目的と、
      太く美しいステンレス製のモールをデザイン・アクセントとして
      採用してきました。 (同時期の他車両でも。)
      
      しかし、そのロアーモールは、V型の構造をしたカウルトップ
      部のため、水抜きは有りましたが、用をなさず腐食の構造的
      な原因となっていました。
S130・280ZXのガラス周辺の修理     S130・280ZXのガラス周辺の修理 S130・280ZXのガラス周辺の修理

S130ガラス修理 写真2 : 特に左右の下側・コーナー部は、複雑な構造物の接合部分
       で、その表面にはウレタン・シーリングがしてありました。

       ここに採用されたシーリング材は、経年劣化でもろくなり車体
       の構造的(モノコック)振動や歪みから亀裂が生じ、水分など
       の進入からサビ・腐食を進行させています。

       この部分は、フェンダーの内部のフレーム(フードレッジ)側に
       も、浸食をさせている場合が多く見られます。

S130ガラス修理

写真3 : ルーフの上部・中央のサビを検証してみます。

       ベルトサンダーで、塗膜とサビを削り落としましたが、鉄板の
       腐食進行が酷く、もう穴が空いていました。

       鉄板の切り接ぎ作業をするほどでも無いので、ここは米国製
       のケミカル材を利用しました。

S130ガラス修理
S130ガラス修理
S130ガラス修理

S130Z ガラス修理 写真4 : 画像のように、モールの内側には多くの土砂が堆積して
       います。周囲に小規模なサビが発生し点在していました。

       土砂を取り除いて、古いウレタン・シーラントもサビと同様
       に、削り取ります。 その後の下地には、液体(銀色)の
       POR-15(米国製・強防腐材)を塗布します。

       塗装用のプライマー・サフェーサーでも良いのですが、強
       力な科学合成樹脂(強度も成形)を選択いたしました。

S130Z ガラス修理 S130Z ガラス修理 S130Z ガラス修理

S130Z ガラス修理 写真5 : 左右の下側コーナー部です。 古いシーラントを除去すると
       数枚の鉄板パーツが重なっているのが、見えますね。

       当時メーカー側では、ここをウレタン材でシーリングしてい
       ました。
       

S130Z ガラス修理 写真6 : コーナー部に、POR-15(銀色)を塗布したのが判ると思い
       ます。 その後、全体に塗布をいたします。 (数回塗布)
       
       また、ルーフ部やカウルトップ部は、塗装をするので下地と
       して、プライマーファフェーサー(2液型)を塗装します。

       記載は省略していますが、それぞれの工程では洗浄や、
       脱脂や養生など、色々な施工を何度もしています。
S130Z ガラス修理 S130Z ガラス修理 S130Z ガラス修理

280ZX ガラス修理
写真7 : 塗装用のウレタンシールをいたします。
       荒い筆で施工しますが、当時の形状をまねて同じように硬い
       筆にてシーリングをいたしました。

       本来はフェンダーも外して内部を確認した方が良いのですが、
       バンパーやライトを外さなくては出来ない作業なので、費用面
       から、今回はいたしませんでした。
       

280ZX ガラス修理 写真8 : 画像は塗装のための養生です。(マスキング)
       この車両では、バッテリー付近もバッテリー液での腐食があり
       同様な施工にて、同時塗装をいたしました。

280ZX ガラス修理 写真9 : 塗装(2K塗装)の様子です。

       ここ塗装ブースは、遠赤外線パネルヒーターを採用しています。
       左右の全面大型パネルを設営。

       遠赤外線を発生するため、塗装膜の内部から熱が伝わり、また
       空調のファンも止めて使用できるため熱効率が良く、ブースの外
       板も50mmのアルミ製ウレタンフォームパネル(断熱材)を使用
       しています。

       特注のワイド・大型バーチカル・ブース(日本製)です。
280ZX ガラス修理 280ZX ガラス修理 280ZX ガラス修理

280ZX ガラス修理 写真10 : フロントガラスのファスナーや、ガラス下部のワイドダムなどは、
       製廃となっています。 (当面は在庫有ります。)

       ステンレスモールも専用のコンパウンドで磨いたり、欧州仕様
       ターボのように、ブラックアウトするのも良いと思います。

                         (平成29年2月記:Hiro)
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