■修理車両・・・平成元年.Z32.2シーター日本仕様ターボ 走行約15万km ワンオーナー     

■作業内容・・・ エンジンルームの再生。 (車体等、全体のコンディション悪し。)
          中古エンジンへの交換と、エンジンルームの再塗装・化粧直し。
         コンディション再生と、補幾類のオーバーホール(タービンもO/H)
         
        中古エンジン(走行約5万km)は、O/Hしました。車検含む。 
                                   (平成29年11月〜平成30年11月の作業)

                               
○ ○ その1 ○ ○
     


(1) Z32平成元年車 ツインターボ・車体色はレッド、オリジナル・オーナー。
   2度のオーバーヒートで、ガスケット抜け! エンジンは交換とします。
  
(2) 担当者は初めての、経験車だったので
  エンジン降ろしに、3日も要した!
  まっ、記録画像など構築しながらですが。

(3)オーバーヒートを、2回してしまい、1回目のときにラジエターを交換したとの事でした。
  右側のマフラーから、煙が出ているからと、初めてのご来店をいただきました。
  確認したところ、白煙は水蒸気でした。 エンジンのコンプレッションも測定しましたが、右側の2気筒が、基準以下。 
  エンジンのガスケット抜けと、判断しました。 上記の画像は、事前点検などです。

(4)  こうしてエンジンを外して見ると、各部のコンディションが良く確認(目視)出来ます。
   バッテリー台座の腐食が酷く、交換などの作業が必要となりました。
   この後、下側にある配管にも腐食が広がって、危険な状態でした。

   S130・Turbo車で、同じ状況にあったパイプが、車検の検査時に、強くブレーキを踏み込み、制動テスト中に
   腐食の配管が、破裂してブレーキフリュードを、野田の陸運局内のコースにまき散らして、叱責されました。

(5) 同色での塗装を施工するので、配線や補器類の一部は残したままで、塗装を予定いたします

  年式的に、走行距離も有り、それなりの汚れや、劣化の傷みが随所に見られました。
  クーラーコンデンサーなど、残したままですが、枯れ葉などの除去・洗浄はいたします。


(6) 別のページなどでも紹介していますが、ここまでの作業では、エンジンクリーナーなど、薬品を
 使用して、高圧洗浄を2回ほどいたします。 洗うと綺麗に見えますが、本番はこれからです。
 


(7) 配管や、配線など一部を外してから、バッテリー台の交換作業をいたしました。
  腐食した、バッテリー台を一部の溶接から外して、サビの部分を除去いたします。 脱脂作業をします。

  銀色の部分は、米国製の科学薬品です。 POR-15のシルバーを塗布します。 サビ止め作用が有るのと、硬化をすると、
  鉄板と同等の硬度になり、補強をいたします(2度の筆塗りを)。 硬化には、1日を要します。
  

(8) POR−15の表面を、足付け後に、グレー色の塗装下地のサフェーサーを塗布しました。
  
  バッテリー台は、位置決め確認ご、車体色のレッド塗装をしてから、台の裏側を事前塗装しています。
  
  こうした見えないヶ所の工程を、しっかり施工しています。 シーリングなど、画像には有りませんが、
  素材の選択など、優良な素材を使用して、工程を順守しています。

(9)  ようやくエンジンルームへの塗装に入ります。
  元々メーカーのここへの塗装は、かなり手抜きのような仕上がりとなっていますが、製造した日産車体の名誉
  の為に補足を加えます。 このZを製造した、日産車体の塗装工程は、最高品質と仕上げを誇っています。
  これは、本当のことです。プレジデントやセドリックを当時製造していた、栃木工場より格上の仕上がりを認めて
  います。一般的には、公表されていませんがね。
  
   それでは、何故エンジンルームの塗装は、粗雑なのかですが、それはコストとの問題になります。
  1台の車体にかかる塗料原価は、製造コストとの板挟みにあい、多くの塗料をここで消費出来ないからです。

  車体塗装以上のクリアーコート仕上げをいたしました。 耐久性と美的の更なる向上のために。
  今回は、同色(色の変更は無し)なので、一部のパーツは外さず、マスキングにて塗装の工程を進めました。

  時間の短縮と、施工費用の低減を可能にしています。 それでもメインハーネスは、外しています。


(10) 一見、簡単に組み付け・組み立てをしたように見えますが、ここまでの完成には、4〜5日を要しています。

  各、パーツは洗浄とクリーニングをしています。 もちろん、検品もです。 
  メイン配線などは、劣化・硬化したコルゲートチューブや、耐熱テープなど、ほぼ総て除去して巻き直しを施工して
  います。 劣化した、インジェクターのホルダーやブーツも、交換しています。 各種のカプラーも同じです、下記に。

(11)エンジン・ルーム内への取付施工では、やや画像が少なく、当時の担当者の時間的焦りが有ったようです。

  ブレーキのマスターバッグは、私が施工塗装をしました。
  右側下のパイプは、パワステ・クーラーホースの漏れ部分をカットして、交換がし易いように、NA用のホース
  に交換・加工をしています。 抜け防止の、凸部分も再現しています。 (米国製の専用工具にて!)

(12) さて、前項で述べていた、ブレーキ・パイプの腐食の件を解説いたします。

  日産のブレーキパイプは、製廃にて入手出来ません。 解体・中古車からの脱着も容易では無いので、特注
  品にて、外部へオーダーいたしました。


(13) エンジンの交換作業に移行します。 こちらの工程では、担当者が変わります。

  使用出来ない、古いエンジンもパーツを分解・分離いたします。 一部は、洗浄して再使用いたします。
  

(14) 中古のエンジン(走行約5万km・当社の在庫)を、オーバーホールいたしました。

   当初は、日産部品販売へ依頼する予定でしたが、OHの依頼が受けられない(パーツの製廃)状況となり、
   都内の有名店への見積もりでは、100万円以上(パーツ含まず)だったので、依託マシンショップの選択
   に、手間取りました。 

   一時は、米国からの輸入も検討しましたが、ベアーエンジンの加算や、輸送費用など検討すると、断念を
   いたしました。 どうにか、依頼をうけていただく企業さまを、紹介頂きましたので、こうして作業を進めること
   が出来ました。
 パーツの組み替え作業をしています。