■修理車両・・・昭和58年.S130.4シーター日本仕様ターボ 走行約8万km     

■作業内容・・・ 前側の右側を、大きく大破し、同時に右リアーフェンダーも中破損
          をしてしまった。 レストアとの平行作業をすることになりました。
           
             
 ・・・ その1・事故の車体修理編 ・・・    (平成23年〜平成25年頃の作業記録)

                         
■ ■ その1 ■ ■  (記載令和元年11月記)
     


(1) 右側の前を橋の欄干にぶつけ、横滑りをしてリアーのフェンダーを破損
   いたしました。 自損の事故ですが、車両保険は加入していました。
  
(2) エンジンに問題は無いと思いますが
  重要なコアサポートは、大破していま
  す。 製廃のパーツです。

(3)まずは、エンジン・ミッションの降ろしから始まります。
  ターボ車とは言え、L型のエンジン降ろしは、容易な作業です。

  コアサポートは、ラジエターを支える、一番前がわの骨格で重要なパーツです。
  鈑金での修復は、厳しい傷みになっていました。 しかし、鈑金で修理をいたします。

(4)  下側から床の状態を見ると、事故とは無関係に、床の腐食が見つかります。
   元々、レストアを依頼されていた、車両なので合同で平行作業を施工いたします。
   この後、リアーフェンダーなどに、過去の修理歴が有、開封・再修理の案件となりました。

   エンジンルームは、青色のストラットバーが有り、補強されていましたが、右側の衝撃が、左側にも伝わって
   しまいました。 この部位をフードレッジと呼びますが、左右のフードレッジは変形しました。

(5) バンパーは、2リッター車なので、2.8リッター車や北米車のような、衝撃吸収ダンパーは付いていません

  もし有ったとしても、場合によっては、フレームにも大きなダメージが有ったかも、知れません。
  前側の変形は大きいですが、ここで吸収されたと思います。

  左右のフードレッジのピラーとの接合部にも、歪みがきていました。

  それにしても、事故とは関係有りませんが、バッテリー台の腐食が酷い状態です。


(6) さてこれは、当社の在庫車で、部品取りを予定していた車両。 前期型の、L20エンジン車です。
  この車両から、パーツを移植して復元作業を計画いたしました。
 


     
(7) 配管や、配線など、全部を外しました。(一部の画像に乱れが有ります。)
  車体は、フレーム修正機に載せ、水平を保って、10トンのポートパワーで、修復作業をいたします。

  車体は専用の大型ゲージを使い、測定器をいたします。 しかし、残念ながら、作業画像(その5・6)
  を消失させてしまい、ここにアップすることが出来ませんでした。
  
  ダメージが酷かった、右側のコアサポート(右側のヘッドライト周囲)は、鈑金で再生しました。

(8) 左上の黒い枠のパーツは、後で見つけたラジエターコアサポートのパーツです。
  実は、過去に修理した、280ZX・Turboに部分使用したコアサポート(左側と正面の上下)のカット残
  りを見つけました。 パーツ番号:62500−P7900(製廃)
  
  右側のリアーフェンダーは、鈑金で再生しました。 その他、腐食部位は、カット・張替の作業を施工
  しています。(ここの画像も一部が破損しています。再生ができません)

(9)  まったく事故とは、無関係ですが、同時進行でレストアの作業にも入りました。

  部位は、バッテリーの台の部分ですが、画像ではもうバッテリー台は、外しています。
  車内側は、シートやカーペットなど外し、ダッシュボードAssyも外して、ブロアーファンAssy、クーラーAssy
  、その他のパーツも外して、ようやく腐食の部位が確認出来ます。

  腐食の部位を切除して、ボンデ板(亜鉛メッキした鋼板)にて、張替作業をいたしました。
  付帯のパーツは、移植します(ブラケット)。 防食のサフェーサー塗布をして、溶接部もシールドしました。
  裏側なので、ややラフな施工ですが、防音材を貼るので見えません。塗装は施工しています。
  
   それぞれのパーツを戻して、いますが、他の作業が有るので、ダッシュボードは未だ戻しません。


(10) フェンダーの裏側に隠れた、フードレッジの接合部などにも、腐食やエンジ部にサビが見られます。

  このS130ごろの年式から、多く採用され始めた、シールド(ウレタン系)の部位の内側が腐食していました。 
  FRピラーの接合部ですが、これらのシールドを剥がして、サビを除去(サンダーなので)し、POR−15(ケミカル)
  剤(銀色)を塗布いたします。 

  その後、最新のウレタンシールド材を固めの筆で、塗布いたします。(オリジナルのように)

(11) ダッシュボードを取付て、自走出来るように準備をいたします。

  残念ながら、エンジンルームの塗装の作業記録が消失しまったようで、この後はエンジンのセミリビルト
  の作業紹介に移ります。
  唯一、ブレーキマスターバッグの再生画像が有りましたので、続けて紹介してみました。

  その後、エンジンを載せ、自走が可能になるように致します。

(12) エンジンは、シール交換など、重整備は施工していません。

  最後に登場している、ラジエターのホースや、エアクリナーなどは、これを掲載した、令和元年には、総て
  製廃となって、純正パーツは入手出来なくなっています。


(13) エンジンが始動したので、移動が容易になりました。 車体のレストア作業に移行いたします。

  一部の画像は、事故入庫の前に、事前撮影をしていた画像があります。 S130Zは腐食に弱い車体
  です。 当時、第一次オイルショックの有った年で、各メーカーが燃費競争に突入した年度となりました。

  ホンダは、シビックに載せた、CVCC(副燃焼エンジン)を開発! 当時の日産車は、L型・直列6気筒車
  が多く存在して、エンジン単体での開発が間に合いませんでした。 そこで考えたのが、車体の軽量化!

  ガラスを薄く、鉄板を薄く、樹脂パーツやアルミ製品への移行など、しかし同時期に新採用した、電着カチオン
  塗装が製品不良で、腐食を進行させることとなりました。 同時期のローレルなど、腐食でドアーに穴が空き
  交換(今で言う、リコール)をしていました。 (知る人は少ないでしょう)

  ケミカル類で、サビを止めることは出来ますが、使用範囲は限られ、強度は期待出来ません。
  鉄板での張替作業が、有効となります。 画像でごらんください。
  

(14) 腐食の部位は、各所に有りますので、一部は割愛して代表的なヶ所を紹介いたします。

   ここは、右側のリアーテール・ランプの位置です。(左側も同じです。)
   コーナー下部に、多くサビが発生しています。サビの連鎖で見えない、バンパーの裏側にもサビが発生を
   していました。  

   サビを通り越して、腐食と言う重傷な案件と理解いたします。 腐食の部位を切除して、新しい鉄板(亜鉛
   メッキを施工した、ボンデ板)を形状に合わせて鈑金しました。 これを接合いたします。

   その後は、最上級の樹脂パテで形成を整えます。サフェーサー塗布をして、接合部のシーラーを再生し
   て、塗装の準備をいたします。