修理車両・・・平成元年.Z32.2シーター.Tルーフ.NA.パール・ホワイト色車.A/T
作業内容・・・オーバーホール.スティレンSM−Zの製作。

(1) エンジン・ミッションAssyにて降ろす。走行距離は約9万Km。車体に修復暦はないが補器類・電装・駆動系にへたりが全体に広がっている。

(2) エンジン・ルーム内。ブレーキ・マスター・シリンダーからのブレーキ液漏れ。7万Km位走行のZに限らず日産系車種には多く見られるが高熱にさらされる大型エンジン・高出力車は劣化が早く見られる。ブレーキ液の漏れたフレーム下部は塗膜が剥がれ錆が発生している。(エンジンや多くの補器類がこうした個所を見逃してしまう)

(3) エンジン・ルームの洗浄。油脂類や錆を処理し色替えの準備に入る。

(4) スカイラインGT-Rに指定されたベイサイド・ブルーにオーナーより指示を受ける。4コート塗装の為この輝きは美しい。塗装の方式はバイクのフレームなどによくみられるキャンディー・カラー(原色と下地のメタリック)に類似している。


(5) エンジンのコンプレッションはOKなので各部のオイル・シール、テンショナー、ウオーターポンプ、ヒーター・ホース、ベアリング、バキューム・ホースなど劣化し硬化しているゴム類は全部交換する。

(6) オーナーの希望もありラジエターは新品に交換した。

(7) パワーステ・リンケージはリビルト品に交換。左右のタイロッド・エンドはボール・ジョイントがへたってガタがあった為、左右共に交換。直進性が悪くなりナックルスピンドルと同様にハンドルに振動を発生する。

(8) 走行中にフロア下部より微振動が感じられたら、ほぼこのプロペラ・シャフトのセンターベアリングにあると思ってよい。(違う事もあるかも知れないけど) (9) ブレーキマスターは今後のオーナーの使用年数を考えオーバー・ホールせずに新品交換した。又、ブースターはメッキの為、分解した。

(10) インジェクター端子のカプラー・ブーツは全て破れている。ここから水分が入り端子のピンを錆らせてしまう。多くの電装トラブルや性能低下や燃費の悪さはこうした小さな能力を失う事から発生している。

(11) 古い端子を切断しブーツ・カプラー・端子を交換する。

(12) インテーク・マニホールドをクローム・メッキ加工してアメリカンテイストを目指す。ついでにマニホールド内部のカーボンスラッジを洗浄。汚れの原因となる二次ガスの流入を止める。(加工)

(13) リビルトとメイク・アップをほどこし新生甦ったVG30DE。ボディの塗装の前にエンジン&ミッションを載せる。

(14) 車体各部にヘコミや古い修理跡を修理。デント技術も使いなるべく不必要なパテを使用しないようにしている。オーナーの希望から初期の頃のスティレンSM-Zを目標とした。初版本のスティレンカタログから非売品のパーツまで取り寄せHKSのマフラーまで輸入した。(2シーター用デュアルテールが国内生廃の為)